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9年振りの台湾訪問と講演・展示会 »
■■飯粒を残すような奴は出世しない!
2018 / 8 /22
昼食に出かけた時のこと、黒い御飯茶碗に残った飯粒がなかなか取れません。黒い器ゆえにこびり付いた飯粒がやたら目立つのです。それを見てあの叱責の言葉を思い出しました。
今から何十年も前になりますが、「飯粒を残すような奴は出世しない!」、こう言って叱ってくれた友人がいました。今は亡き魚谷清兵衛(うおたに・せいべえ)さんです。
彼の店:魚谷清兵衛商店は、清兵衛さんが選び抜いた日本全国の魚介や珍味などの品揃えの名店です。値段は少々張りますが、味は保証付きで、今も新宿伊勢丹や横浜そごう等に健在です。

味わい絶品の魚谷清兵衛店の人気商品(出典:三越伊勢丹HP)
考えてみるに、その頃の私自身はあまり出世したいなどという意識など持たずに生きていたと思うのですが、彼のこの忠告は常に強く耳に残っています。行儀の悪い振る舞いと分かっていてもそれを改められなかった恥ずかしさが余程強かったからでしょう。
清兵衛さんは良いと思うと何でもすぐに採り入れる人でした。知り合った頃、私は当時都内ではまだ本当に珍しかったベンツのワゴンタイプに乗っていました。それはディーゼルエンジン車で、実に音のうるさい車でしたが、個人的にはそのスタイリングを大層気に入ってました。彼はそれに触発されたのか、すぐに同じ車を買いました。
また、彼は独特の美意識の持ち主で、魚谷清兵衛商店が成功すると、その店は奥さんや息子さん達に任せ、自分は陶芸の道に入っていきました。
彼が選んだのは古備前窯の現代への復活でした。本来古備前焼は結構肉厚のものが多いのですが、彼はこれを如何に薄く創るかに意欲を燃やしました。彼の美意識の発露でしょう。

清兵衛さん作の湯飲み
これは試作品として彼がつくってくれた湯飲みですが、ビールを注ぐと実に細かい泡が立ち誠に美味しいので、私はビールカップとして今も大切に愛用しています。
清兵衛さん、いろいろご忠告ありがとう。
投稿者 Nakanishi : 2018年08月22日 11:54