中西元男 実験人生
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「中西元男の世界」展 開催にあたって 2

2017 / 10 /17

来年2018年は、PAOS設立50周年の記念すべき年になりますので、何らかの催しは考えてみたいと常々思っていたのですが、その1年前にあたる今年、「中西元男の世界」展という企画への協力依頼をJAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)神奈川地区よりいただいた次第で、それを契機にこれまでの歩みの総括が具体的に描けるようになってきました。
来し方を軸立てを考えてみますと、これまでやって参りましたことは、およそ次のように分類出来ようかと思います。

1.思考編

高校卒業後に神戸から上京した私は、Bauhaus(バウハウス)のデザイン教育に心酔して桑沢デザイン研究所に入り、デザインアート(作品)以上にデザインインダストリー、つまり、作家作品主義もいいが産業化こそが大切と考えるようになりました。そしてその準備のために早稲田大学に入りなおし、デザイン研究会の活動から、総合大学にこそデザイン教育のカリキュラムが必要と、「早稲田大学デザイン学部設置への試案」提案(1962年)に及びます。その延長上で1965年頃に「デザイニズム」という発想を掲げ、一連の研究と実践の繰り返しの中から、今日の「知的美的経営の具現化」を掲げるPAOSなる組織が生まれてきました。


デザイニズム提唱時代の名刺。ここ高円寺でPAOSを旗揚げした。


2.発表編

私の一番最初の発表作品は、当時わが国を代表する建築・デザイン評論家であった浜口隆一先生からお誘いを受け著した「デザイン・ポリシー(企業イメージの形成)」(1964年刊)です。その後も書籍は次々と著し続け、日本語版だけでなく、英語・中国語・韓国語などの刊行物を全て合わせると、延べで約50冊くらいにもなりましょうか。中でも1971年に上梓した「DECOMAS(経営戦略としてのデザイン統合)」は、刊行後、30年間に10版を重ねる超ロングセラーとなり、同時に私自身やPAOSの社会的信用状となり、高級営業案内にもなってくれました。この拙著がその後も次々と本を作り続ける歓び、つまり一種の中毒症状のような気持ちの引き金になってくれたとも言えます。


編著作の数々

それ以外にも、雑誌・新聞等への原稿・記事掲載なども、約半世紀の間には数え切れない程の量に及んでいます。もちろんPAOS自体で制作しましたスライドや映像なども貴重な記録として残っております。特に、既に物故なさった経営者の往事の姿などは、今となっては貴重な産業史的記録と言えましょう。
そしてもう一つ忘れてならないのは、私の場合実に多くの講演や講義を重ねてきた歩みでしょう。その数は正確にはカウントしておりませんが、1,000回近くにはなりましょうか。


3.研究歴編

独自の研究活動もいくつかあるのですが、それらの中より2つほど選んでみますと、次のようなモデル事例が挙げられようかと思います。

T.西新宿定点撮影
元々PAOSは早稲田大学のデザイン研究会というサークル活動の延長で生まれてきた会社でしたから、単発型と持続型の研究テーマを併せて持ち続けてきました。
永く続く持続型の中から代表例を取り上げますと、西新宿の定点撮影記録と、各国を代表する世界企業の企業イメージやブランド・コントロールマニュアル類の収集・研究があります。
前者の、西新宿の超高層ビルが群れなして建ち並んでいく半世紀に及ぶ記録は、都市形成の定点撮影としては、世界的にも類を見ない貴重記録でしょう。
これは、撮影場所となった淀橋浄水場跡地に稀なる広大な平地があったという好条件・好立地が備わってこそ生まれ得た賜物(たまもの)と言えます。
ともあれ、地震大国でもあるわが国にあって、超高層ビル建設を可能とした技術開発力は、それ自体が世界に誇るべき成果であり、その証明としての超高層ビル街づくりは、わが国の都市景観を一変させた歴史に刻印されるべきものでしょう。
西新宿定点撮影記録は、そうした含意のもとに実施され続け、また今後も永く続けていく予定のプロジェクトです。
現在は2地点で撮影を行っておりますが、今後は西新宿から中野坂上にかけて高層ビル街が形成されていく計画もあるようですから、それを記録できるアングルの策定も始めております。
いずれにしましても、この記録は20〜21世紀にかけての貴重なわが国都市形成の証(あかし)となってくれることは間違いないと言えます。



U.海外のマニュアル等資料収集
永い時間を掛けての研究歴資料という点でもう一件あげておきたいのは、世界的企業の企業イメージやブランド戦略の、「アイデンティティ・コントロールマニュアル」の収集と研究です。
私共ではCoca-ColaやIBMに始まり、世界中の約350社ほどの貴重資料を収集保存しており、多分この分野では世界一の資料集積ではなかろうかと自負しております。
会社自体は残念ながら既に無くなってしまいましたが、世界に冠たるデザイン・オリエンティッド企業OLIVETTI(オリベッティ)社のブランド・コントロールマニュアルなどは、惚れ惚れするほど見事な完成度といえる出来栄えです。


オリべッティのマニュアル


海外著名企業のマニュアル代表例

かつてアメリカ人の知人から、「これだけ世界的企業のCIやブランドコントロール・マニュアルが研究資料として集められたのは、あなたが日本人だったからだろう」と言われました。たとえばアメリカ人同士だと、どこかで仕事上の敵対関係や競争関係があったりするため、なかなかニュートラルに社外秘ものの資料は集められない。私が日本人であったが故に、純粋に研究資料と理解され、その収集を成し得たのだろう、とのことでした。それも宜(むべ)なるかなと思えます。
ともあれPAOSが研究資料として収集してきた各国を代表する企業のイメージコントロール・マニュアル類は、時代の流れの中で既に消滅していった企業や経営統合された企業など、さまざまな栄枯盛衰の歴史を感じますが、産業史的には、一時代を画する価値あるイメージマーケティングやマネジメントの世界的な資料集成であることは間違いないでしょう。

加えて、こうした貴重な資料類は、弊社だけで私蔵しているのではなく、多くの方々にご活用頂くのが本来ではなかろうかと考えているのですが、資料としての品質劣化を招かない、節度ある方法でどのように公開すべきか、優れた仕組みが見当たりません。
私自身も限られた人生の中で、これら稀有な資料類をどのような機関に所蔵して頂くべきかを模索中です。良き知恵をお持ちの方があれば、是非ご提案いただきたいと思っております。


4.教育活動編

よく、「デザインはモノからコトへ」と言われますが、私はそれ以上にデザイン心のある「ヒトのデザイン」こそが重要だと思っています。
それは、デザインの役立つ領域は、単に具体的なプロダクツやサービスに限定されるものではないと考えているからであり、それを支える理念やソフトの重要性を日頃より主張し続けてきました。ですから、デザインで重要な役割を果たすのは作品主義的なデザイナーにとどまらず、もっと広い意味でのデザイニスト(デザイン主義者)であり、その養成こそ大切だと考えています。
デザイニストとは、デザイン本来の役割や重要性を理解し活用していける人材の総体を指します。それゆえ、折に触れてそうした考え方の敷衍と理解促進に努めてもきました。
これまで、大学などで講座を担当する要請にはいくつも応じてきましたが、桑沢デザイン研究所や武蔵野美術大学、東京芸術大学といったデザインの専門教育機関にとどまることなく、むしろ、経営学部やビジネススクールからの要請を積極的に引き受け、企業経営とデザインの在り方や効果について、既得事例を伴う説明に力を入れてきました。
上智大学経済学部で5年、立命館大学経営学部と大学院で3年、早稲田大学のビジネススクールと選択科目で4年、といった総合大学においての実績がその結実です。
また、STRAMD(戦略経営デザイン人材育成講座)という社会人向け講座での実践においては、デジタルハリウッド大学院のご協力を得て、既に今年で8年目(現在は第8期生)を迎えており、大阪では私の講義のダイジェスト版が阪神電鉄社のサポートで6期にわたり開講されております。
最近は、スタンフォード大学が大学院のMBAコースにDesign Thinkingを取り入れたd.schoolを設けて話題を呼び、東京大学も工学部大学院に同様のi.schoolなる講座を展開しています。しかし、今のところは企業存立や経営方針そのものにデザイン思考を取り入れるというより、プロダクツの開発レベルにとどまっているようです。経営的な取り組みにおける具体的なケーススタディが殆ど存在していないのが泣きどころでしょうか。
ともあれ、経済が成長型から成熟型に展開している今日、企業経営が生産機関+経済機関に加え、広い意味での文化機関化を求められることは否めず、その流れの中でデザインという経営テーマがソフト・ハードを含め、今後より広く深く求められていくことは間違いないのではないでしょうか。


STRAMDパンフレット


5.パブリシティ編、取材編(TV、新聞、雑誌、PR誌)

各種メディアでの紹介記事等は、大学時代の「早稲田大学デザイン学部設置への試案」の雑誌発表から始まり、余りにも数多ありますので、ここでの詳述は割愛させていただきます。


6.ビジネス編(クライアント&プロジェクト記録、プレゼン記録)

大学院生の延長で今日のようなビジネスを始めた当初、様々な人たちから「そんなことをやって本当にメシが食えるの?広告代理店でも大手印刷会社でも紹介してあげるから、そんな危なっかしい事務所開設なんてやめたら?」と、私をよく知る親しい先生方や先輩たちからよく言われました。
しかし、PAOSビジネスは「日本型CI」等と呼ばれながら、半世紀もの間、国内外で私たちの独自の理念を見事に支え続けてくれたのです。
この間、関連会社等まで含めますと、ロゴ・デザイン開発のみのVIに限る事例も多くありますが、ご依頼下さったクライアントの数は確実に100社は超えていようかと思います。
それにPAOSは創業以来「一業種一社」制を原則としてビジネスを進めて参りましたので、実に多種多様な企業のお手伝いをさせていただいたわけです。

そして、こうした仕事プロセスの中で私たちが常に志向してきたのは、決してデザイン賞の獲得等ではなく、依頼企業の求めている実績を数字としてたたき出すことでした。プロジェクトの結果として生まれてくる実績をグラフにして対外的に発表してもクライアントから異議の出ない仕事を残す、これこそ実務屋PAOSの絶えざる仕事目標です。


CIデザインの目的に応じたプロジェクト4社の成長実績グラフ



投稿者 Nakanishi : 2017年10月17日 18:19