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日本型CIの危機?

2016 / 9 /20

米国でのCorporate Identityを“CI”と呼ぼうとの呼称提案は、1971年に刊行した拙著「DECOMAS(経営戦略としてのデザイン統合)」においてでした。


著書DECOMASの書中文書

それがわが国独自の企業アイデンティティ戦略として発展し、日本企業におけるCIとは、伊藤忠商事のごとく企業理念そのものから組み立て直したり、加えて、ベネッセなどのコーポレート・ブランド戦略の展開、時にはセキスイハイムのごとく事業戦略や事業確立計画にまで至る、所謂、日本型CIにまで発展していきました。この事実はハーバード大学・スタンフォード大学ビジネススクールの教科書に、注目すべきケーススタディとして取り上げられました。米国流の表現面に特化したVI(Visual Identity)とは異なった、深耕型の情報化社会型経営戦略です。

ここでのCIとは、企業全体にデザインの価値体系を理念から表現・行動に至るまで幅広く採り入れ、企業存在そのものを工業化社会型から情報化社会型存在へと変革していく全体最適化策にして先端企業存在ならしめる経営戦略ですが、どうも最近気になるのは、CIプロジェクトに参加するクリエイティブ・オフィスの中に、こうした基本を理解しないで開発作業を進めてしまう傾向が見えることです。
かつてはCIプロジェクトへの参画を要請すると、コ・ワーカーたちは結構使命感に燃えてCI本来の在り方や狙いについて研究の上、全体最適化策に取り組んでくれたものでした。しかし最近はCIプロジェクトの一環としての要請にも関わらず、自社の専門とする分野の範囲内や解釈だけで対応してしまう、部分最適化の傾向が散見され始めました。
これだとプロダクトはプロダクト、WebはWebだけの部分最適型にして処理型対応になってしまい、企業に関わる諸デザインの総合力やシナジー効果は期待できません。CIプロジェクトに関わる諸デザイン対応は、理念や方針のソフトに始まり、表現や行動のハード面にまで及び、一連にして相乗累積効果が期待できる施策であることが重要です。

「優れたシンボルは思想の凝縮」といわれるごとく、私どもPAOSでは、企業の理念構築や事業の現・近・遠未来戦略まで想定して、具体的な表現規定や行動指針までを策定してプロジェクト推進に当たることが通例ですし、それこそCIプロジェクト本来の在り方と考えてきました。
それを部分処理対応のみの開発行為として位置づけてしまうと、結果的には、従来の作家作品型対応のデザインとあまり変わらない結果に陥ってしまいます。

こうしたCI本来の在り方については、拙著にも何度か述べてきましたところですので、最近のデザイナーに散見される勉強不足や知識欠如は甚だ気になるところです。これでは決してデザイナーはデザイニストには成れませんし、企業や行政のトップマネジメントとデザインという専門的見地に立ってのアドバイスやコンサルティングといった仕事参加は行いようもありません。
流行りのデザインシンキング(デザイン思考)なるキーワードに単に酔っているのではなく、そろそろAI(人工知能)革命を前提とした、画期的で構造的な新しいデザイン論の登場が待たれているのかもしれません。

1971年に上梓され、その後、30年間10版を重ねたロングセラー書籍「DECOMAS(経営戦略としてのデザイン統合)」で提示してきたごとき革新的な理論や手法の再来が求められていると言えるでしょう。



投稿者 Nakanishi : 2016年09月20日 18:11