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PAOS設立45周年にあたり
5/5 「記録のPAOS」

2013 / 9 /24

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日本人は今しか考えない、と言われます。
加えてその特色は、目の前の先端状況や海外の先行事例を必死に追い求めるところにもあります。

これまでのわが国の歴史を振り返ると、常に世界の最先端文化や文明を探し求め、それをいち早く取り入れ自分化(日本化)していくところに、固有の特色や長所が認められました。要はオリジナルを創り出すというよりは、改良改善の国として世界に覇を唱えてきた特徴を持ちます。良い意味でも悪い意味でも新しいモノの追っかけに特色がありました。
ところが、今やそうしたお手本となるべきモデルは世界中探してもほとんど無くなり、自らの手で新しい価値の創造をしていかねばならない状況に追い込まれているのが、今のわが日本国の課題ではないでしょうか?最近では、iPS細胞など発明発見の国としての萌芽が見られ始めたことは、その意味では大変喜ばしいことです。

こうした特徴は、デザイン界に目を転じても同様で、残念ながらとても発明発見型価値づくりの国への道は未だしと考えています。もっと言うなら、世界のデザイン思考やデザイン教育を日本からイノベートしていくといった発想や風潮が生まれてきているとは思えません。
その主たる要因は、上述した海外デザインの改良改善策、更には、どこかで「欧米は進んでいてわが国は遅れている、だから少しでも真似をしなければ」とか「外国人のデザインだから素晴らしい」と考える人たちや企業マネジメント層の旧い価値観にも原因はあるかと思います。

PAOSでは、これまでの数多くの情報収集や実業を通じて、「我々のやって来たようなデザイン&経営コンサルタント会社はほとんど世界中には無いのでは?」と考えています。その思いはネット時代になり世界中のいろいろな動きが取得出来るようになってきて、ますます明確になってきています。そして、問題はこうした発想や実績の敷衍(ふえん)とその活用方法です。

私たちは「記録のPAOS」と呼ばれ、創業当初よりいろいろな記録資料を丹念に残し、それを解析することから常にその先を探り、当該案件に相応しい解決方法を探り続けてきました。それが今日の独自のデザインコンサルタントビジネスをつくり上げてきたと言えます。


PAOSの開発作業記録資料の一端

同時に、これら1960年代後半から現在に至るプロジェクトを通じての開発記録類は、今となっては大変貴重な資料です。
高度経済成長期、安定成長期、バブル経済期、デフレ停滞期にわたる各期それぞれのわが国を代表する企業の事例が丁寧に残されているからです。
PAOSで保持するものとほとんど同じアーカイビングは、クライアント企業にもお渡ししてあるのですが、長い年月の間には大部分が失われてしまっているようです。

これらの中でも、特にセキスイハイム、ベネッセ、INAX、NTT、伊藤忠など5社分の資料に関しては、メモ用紙の一枚に至るまで保存してあります。
もちろん他の多くのクライアントの記録資料も大量に残されており、それは大小5ヶ所の倉庫に大切に保管されております。


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倉庫の資料棚

最近になってこの資料のことをお知りになった立命館大学テクノロジー・マネジメント研究科の玄場公規教授からご依頼があり、大学並びにプラクティカムを志望された同大学院生の皆さん個々人機密保持や他用禁止契約を結んだ上で、研究支援・協力を始めました。
その第一号に選ばれたのが伊奈製陶からINAXへの企業改革を図ったケーススタディで、これは保存ケース約30箱分位の資料になり、生きた学習資料であると共に、それらのデジタルスキャン等も行って貰いました。
その研究成果をレポートにして電子ブック化が図られたのですが、その際、開発当時のINAX社社長であられた伊奈輝三(現リクシル名誉会長)氏のインタビューも望まれ、創業の地:常滑まで訪ねられた先生に、ご自身がわざわざ親しくお会い下さり、加えて、後に私の方にまでご丁寧な自筆のお手紙を頂いたのです。


伊奈輝三氏からの手紙抜粋

この丁寧にして素晴らしいお人柄には本当に頭が下がりました。当時お手伝いをして、伊奈社長と共におつくりしたINAX5(イナックス・ファイブ)は、私が数多く関わってつくりあげてきた企業理念の中でも、秀抜の出来と言えるものだと考えております。


伊奈氏が最も注力して創られたINAX5のX1(企業理念第一条)

各クライアントの開発資料類と共に、もう一つ重要なアーカイビングといえば、2013年7月10日をもって、45年もの永きにわたっている、西新宿の定点撮影記録でしょう。
地震国日本では、明治以来ビルの高さは原則百尺(約31m)に保たれてきたものが、独自の技術開発の結果、地震に耐えうる超高層ビル建設が可能となりました。そして、淀橋浄水場跡地の西新宿で突如群れなして超高層ビル群の建設が始まった、その直前の平地から、今日までの建設プロセスを丹念に記録し続けてきたのです。
今後も条件が保たれる限りは撮り続けるつもりですので、都市の定点撮影変貌記録としては世界的な価値を持つものでしょう。
「記録を続ける、長く続ける」ことの価値です。






何故PAOSは丹念に記録を残すのか?
それは記録をしていくと未来に必要なことが見えてくるからです。
「賢者は歴史に学ぶ」の言葉ではないですが、過去の成功事例は同時に失敗事例をも内包しているのです。失敗事例というよりも今後への可能性や為すべきことのシーズを秘めているのです。
そうした多くのことを、PAOSは実際のプロジェクトの中からいくつも学んできましたから、いろいろ記録を残し続けるのです。

これら記録に学ぶ重要性は、何もデザインの仕事に限ったことではありません。国だって同じ事です。
例えば2011年3月11日の東日本大震災は、明治以来この国が欧米先進国の科学技術の後追いだけをやることの愚を教えてくれました。ヨーロッパに始まる近代科学は、人智で自然をねじ伏せる方針を貫き、わが国も明治維新以降およそ150年余にわたりその姿勢を貫いてきましたし、そこから得た成果も大きかったことは否定できません。
しかし今回の大地震と大津波の猛威は、ギネスブックに載るような防波堤でさえ一瞬にして木っ端みじんに砕いてしまう自然の猛威を見せてくれたのです。ヨーロッパやアメリカの東海岸側では地震などほとんど起こらない地勢ですが、わが国は大地震の要因である地球を覆う12枚の大プレートのうち、なんと4枚もが集まった上に存在しているのです。
故に、これまで歴史的にいくつもの地震対策の教えや知恵が積み重ねられてきていたのですが、明治時代以降の欧米流近代科学技術でそれをねじ伏せようとの戦略が見事に破壊されてしまったのです。
自然とのつき合い方につき、今一度歴史に学び直した上での、わが国独自の新しい国のデザインが求められていると言ってよいでしょう。

果たしてピンチをチャンスに変えることは可能でしょうか?
確かに、多くの人たちはいま東北に支援の手をさしのべています。デザインの分野でも、建築家が新しい街づくりや家造りのアイデアを提案したりしていますが、私は所詮分野ごとの個別対応の域を出ていないのではないか?と考えています。
要は、いずれもが専門とする分野からの部分対応で、医学で言えば、救急医療や対症療法はあっても、国家的な見地や政策としての予防医学やいま一番必要とされる新しい国づくりの根源療法には、成り得ていないと思うのです。
つまり記録が生かせていないのです。

ところで、「記録のPAOS」といえば、私たちが保持する世界的なコレクションや、国家的に見ても産業史的見地からも貴重なプロジェクト開発記録としての資料情報類を、今後どう処していくのが良いのか?の問題です。
全体を通しての経験や知識を有している唯一の人間である、私自身の人生も、この後それほど長くはありません。
PAOSの記録を、日本のデザイン界の将来に活かして残す良い知恵をお持ちの方はいらっしゃいませんでしょうか。良き知恵のある方ご提案下さい。



投稿者 Nakanishi : 2013年09月24日 12:36