中西元男 実験人生
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PAOS設立45周年にあたり
4/5 デザイン教育の現況は誤っている、だから「STRAMD」

2013 / 9 /20

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2010年4月から、私はSTRAMD(ストラムド/戦略経営デザイン人材育成講座でStrategic Management Designの略)の主宰を始めました。
これは企業経営の中枢に、Design Thinking(デザイン思考)を入れ、デザインの発想や手法を戦略的に活かしていこうとの考え(つまり近いところではMBAやMOTとデザイン思考の一体化で成果を出そうとの発想)で、スタンフォード大学のd-schoolや東京大学のi-schoolなどのごとく最近話題の講座です。PAOSではほぼ創業期からこうした発想と姿勢で研究や実務を積み上げ、ブリヂストンや伊藤忠など世界的企業の理念や経営方針の多くを提案してきましたので、最近のデザイン思考事例をことさら新しいこととは思えません。
今では、モノやコトのデザインより、ヒトのデザインの方がもっと重要と考えています。そのためには、PAOSで積み重ねてきたケーススタディや経験・ノウハウ等を人材育成にどう活かすかというテーマの方が、重要課題です。
この国では既成の専門分野を超えて成果を上げてもあまり評価されないのですが、私はそのようなことはどうでもよいと思っています。本当のイノベーションをやる気なら、従来型の資格や既存の価値観はどうでもいいのです。STRAMD講座もそうした構想の一端として誕生したと言っても過言ではありません。

むしろPAOSの45年の実務を通じて痛感していることは、「デザイン教育≒美術教育」の足かせです。つまり、デザインとアートが限りなく近似と見なされることから来るマイナス要因の方が、デザインの効果や潜在力を活かしていく上では、現実的に足を引っ張ることが多いのです。デザイナーが一品性の作品主義に近づいていっても、所詮、アーティストの作品表現力には敵いません。
デザインが今日のように作品主義重視になってしまった理由は、近代デザインの出発点がJ.ラスキンの「ギリシャ・中世・ルネサンス期などの優れた時代には、必ず素晴らしい美的成果があった」の論や、W.モリスなどの「中世の美意識に返れ」というArts & Crafts Movementに端を発し、そこから美術教育のみとデザイン教育が深く結びついていった故と私は考えております。
今やデザイン教育はこの呪縛から解放され、むしろ、経営学・社会学・心理学・脳科学・統計学・工学等々とも、本来深い繋がりと広がりを持つべきなのです。
PAOSの歩んできた足跡に、デザイン分野の展がりの可能性を認めるとするならば、むしろこうしたよい意味でのデザインの融通無碍性というかインターディシプリナリー性を活用し、実ビジネスに活かし多大な成果を上げてきた歩みと累積が重要だと思います。つまり、PAOSの実績を基本に考えれば、デザインの可能性は広がり、ビジネスとしても大きな成果が期待できると私は考えています。
ただしそのためには、デザイン教育そのものを創り直す必要があります。まさにデザイン教育のメガ・チェンジです。
STRAMDで私が繰り返し受講生達に言っていることは、「先ず自分自身をデザインしろ」ということです。言い換えれば、自分の人生を他人につくって貰うような愚行は捨てろと強調しているのです。

そもそもPAOSビジネスの原点は、1962年に発表した「早稲田大学デザイン学部設置への試案」に見られます。これは、デザイン教育は美術系の大学ばかりではなく、総合大学にこそ設置され、多くの学部をインボルブして、デザイン思考や価値体系を核とした分野育成と、そのための人材育成を実施していくべきとの主張でした。


早稲田大学デザイン学部構想提案

この提案は、今から半世紀以上も前のことでしたから、もちろん簡単に認められる筈もありませんでした。そればかりか、現在でもそのような総合大学ならではの特色を活かした横断型のデザイン系学部は存在していないのですから。
認められないならば、こうしたデザイン哲学と方法論に、具現化や具体的成果の可能性があるものかどうか実験してみよう、と始まったのがPAOSという実験会社の出発点だったのです。

幸いPAOSの実験は、そうした可能性を確かめるという点において成功したといっても過言ではないでしょう。実務面では明らかに、デザイン思考で多分野を巻き込むことにより、売上増等の明示できる数字的成果を残してきたからです。


4例の成果グラフ

幸いPAOSでは多くのクライアント企業における開発プロセスの記録を大切にアーカイビングしています。加えてその提案成果は時を経て多くが達成され、今では大部分の内容が明示出来る状況になってくれました。だからこそ、私たちのPAOSモデルを今後のデザイン教育やデザイン産業に活かしていって欲しいと私は考えているのです。STRAMDは、まさにそうした教育展開の第一歩に位置づけられるものです。

STRAMD教育の目標は、ひと言でいえば「デザイニストの育成」です。デザイニストとは、以下のチャートに示すような幅広い分野でデザイン思考を活かしていける人です。



デザイニストの核を成すのは当然デザイニズムですが、PAOSでは既に会社設立以前から、このテーマを掲げ研究活動を続けていました。その事実は本ブログの第1回目に図示した通りです。
こうした出発点を持つデザイニズム、つまり分野横断型のデザイン思考教育は、明らかに成果を上げつつあります。


STRAMD講義風景

それは、これまで3年間の受講者の構成や諸属性をご覧頂ければ、本教育講座の意義が確認していただけようかと思います。これはデザインという分野の今後の可能性の縮図でもあるのです。

価値創造の大部分は、過去の要素の新しい組合せといわれますが、3年間の卒業生達の行動を見ていますと、研究活動や実ビジネスの世界において、STRAMDで出会ったことを起点とする活動がいくつも始まっています。たとえば今具体的に行われつつある新しい調査手法の開発や卒業生同士のビジネス上のコ・ワークなどを見ても、明らかにSTRAMDがねらいとする分野横断型の成果への挑戦と言えると思います。


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受講生の講義録文集と属性

述べて来た内容で考えますと、現況のDesign Thinkingの大部分はどちらかといえばプロダクトオリエンティッドなDesigner Thinkingであって、これをDesignist Thinking(デザイニスト思考)に変革していくことこそ重要と考えています。

現代のデザイン教育問題論は、語り始めるとあまりにも長くなり過ぎますのでこの辺りで止めたいと思いますが、明らかにデザイン教育が大きな見直し変革期に指しかかっている事実は間違いなかろうと思います。STRAMDの実験はその証明と考えております。
それは、これまでのデザイン教育が工業化社会型のパラダイムから抜け出し得ないでいるからです。その後時代は情報化社会型に変化し、最近ではこれら全てを合わせたネットワーキング価値を探求する網策化社会型に変革しなければならないのに、未だモノ離れ出来ないままと言っていいでしょう。世の中クラウド時代に突入しようとしているというのにです。

バウハウスのデザイン教育に憧れデザインの世界に入った私は、逆にいつまでもバウハウスでも無かろうと今は考えています。いくら素晴らしくても90年以上も前の教育モデルですから。

様式や組織は成熟していくに従い人間や文化に近づくといわれます。
人間力とは体力・知力・感力の総合体ですから、社会や企業活動にも感力を積極的に取り入れ、イノベーションを図ろうとしているのが私たちの現在です。デザインが社会や生活づくりの中で重視され始めている理由もそこにあるのです。
リーマンショックで市場経済第一主義が崩れ去り、次なるモデルが求められる今、デザインはその重要性が他分野からこれまでとは別の形で求められ始めたと認識するべきでしょう。
現実問題、私たちPAOSへの仕事依頼や問い合わせは日に日に増えつつあります。訪ねて来られる経営トップの方達と、企業経営におけるデザインの重要性について話していて思う共通項は、今日、経営変革を伴わない企業成長など無く、それは新理念や新方針の創出から、表現・コミュニケーション、そして企業文化や事業成果までを、どうすれば一気通貫で行いうるかという、まさに網策型経営モデルへの希求です。
要は定量的な価値測定を越えた経営モデルが求められているのであり、ここにおいてデザイン思考やデザイン表現無くしては成り立たない経営モデルが必要なのです。

事実PAOSはこれまでにこうした分野で大きな実績を残してきました。
それはデザイン分野やビジネスの先駆け的可能性の証明です。
しかし、昨今増え続けるプロジェクト依頼に応えるには、もう私たちだけでは無理です。
これは逆の見方をすると、PAOSモデルの汎用化が図れ、それを実践しうる新しい人材が育つことを求められているということです。もっと言うならば、デザイン分野の可能性は洋々と開けているのです。



そのためには、今のデザイン教育では既にとっくの昔に限界が来ています。デザインに直接的に関わっている人たちこそが時代遅れになり始めていると考えるべきでしょう。デザインの可能性は広がり、デザイナーの能力は乖離し始めています。
世の中メアキ百人メクラ百人といいますが、デザイン関係者は今の自分が一体どちらなのか真面目に考えてみるべき時でしょう。

STRAMDにおける実験的人材育成は、遅れ馳せながら、そうした覚醒の第一歩と考えているのです。



投稿者 Nakanishi : 2013年09月20日 11:57