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INAX、28年目の同窓会

2011 / 8 /11

銀座通りの行く先の突端「京橋」に、常に画竜点睛のごとく際立っていたINAXの屋上サインが、8月10日を最後に姿を消すことになりました。新しくLIXILに変わるのです。


伊奈輝三(右)・水谷千加古(左)の両元INAX社長と。(2011年8月10日撮影)

それを記念してというか、同窓会のごとく、久しぶりに伊奈・水谷のお二方と昼食をはさんで約4時間、ノンビリした時間を過ごさせて頂きました。

伊奈製陶からCI開発のご依頼を受けたのが1983年のことですから、指折り数えると、爾来28年の歳月が過ぎたことになります。
INAXのCI開発プロジェクトは伊奈社長の在任中10年余に渡りましたから、今回の再会は、想い出のイッパイ詰まったものでした。
この開催に気を利かして、いろいろお世話いただいたのが住宮和夫さん(INAX:GINZA館長)です。

INAXのCI開発は、いわゆる「事業開発型CI」の典型例ということになります。
その中心に据えたのが、
日本のトイレを、それまでの「日陰者」から「日向者」に
というプロジェクトスローガンで、一連の開発行為の中で象徴事業として位置づけたのが、「XSITE(エクサイト)」と称された、海外10ヵ国30メーカーとの取り引き契約で始めた輸入販売業でした。そして、その拠点となるショールームが置かれたのが、当時はまだ珍しかった都心の超高層複合ビル「アークヒルズ」の最上階(37F)でした。
また、この革新的なプロジェクトの中心人物として活躍されたのが、伊奈さんの後継社長となられた水谷さんであったという訳です。更に加えて言うなら、そのXSITE事業にスタッフとして加わっておられたのが住宮さんでした。

なおなお付言するなら、現在のPAOSのオフィスは、XSITEが置かれていたアークヒルズの真向かいに建った、その名もアークヒルズ・フロントタワーにあるわけですから、その綾なす糸の不思議さを思わざるを得ません。

さて、INAXのCIプロジェクトは、PAOSが手掛けたいわゆる日本型CI、PAOS流CIの典型的な成功事例と呼べるのではないでしょうか?一般的な作品主義ではなく、企業主義(コーポレーショナリズム)のデザインだったのです。

INAXのCIは、伊奈輝三という時代に対する極めて優れた洞察力を持った経営者に出会ったことによって生み出し得た、稀有なるサクセスストーリーと言えるでしょう。
当時伊奈さんは、「こうしたことは、私(=創業者のご子息)の代でやっておかないと出来ないのでは?」と、おっしゃっておられましたが、振り返れば、社名変更や理念開発に始まる一大企業革新プロジェクトであったことは間違いありません。


090911_w.jpg

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INAX企業理念

このようにINAXのCI開発プロジェクトは、産業史的に見ても貴重なプロセスを包含していますし、その開発記録の原資料は現在もメモ用紙の一枚まで大切に保管してありますので、そろそろ詳しいドキュメントとして残す作業を行っておきたいと考えています。
伊奈製陶CIの主要開発項目を箇条書きにすると次のようになります。
1. 社名変更
2. VISの導入
3. 理念開発
4. 体質改善運動
5. 環境デザイン開発
6. 新事業開発
7. 文化戦略


これらはいずれも、いわゆる見えないデザイン・見えるデザインを含めた、広い意味での「デザインアイデンティティ」と称せますが、実はこれがある程度完成した後に、取りかかろうとしていたのが「INAXのサービスアイデンティティ」プロジェクトでした。


DI(デザインアイデンティティ)からSI(サービスアイデンティティ)開発への拡プロジェクトチャート

この計画は、ふとしたボタンの掛け違いのような事件から潰え去ってしまうことになるのですが、その後の時代の推移を考えても、もしINAXが徹底した「企業や事業のサービス業化」にこの時取り組んでいれば、、、、と、歴史に「もし」は無いのですが残念に思います。

そして今、INAXはLIXILのブランドのもとに、企業統合されて行きつつあるわけです。
大きいことがいいとは一概に言えませんが、1983年の売上は6百億余では、と伊奈さんがおっしゃっていましたから、LIXILになってそれが1兆3千億超になり、多分ファンドの資金等が動けばまだまだの拡大もあり得ますから、約30年で、超巨大企業へと成長したことになります。

伊奈製陶からINAXへのCIプロジェクトでは、約10年にわたり仕事冥利に尽きる、本当に良い体験をさせていただきました。INAXの皆さまに感謝です。

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投稿者 Nakanishi : 2011年08月11日 16:21