中西元男 実験人生
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COMMENT

« 哀れ、定点撮影本断裁メインFacebook、さて、どうする? »

「創造の場」としてのオフィス・デザインとPAOS

2011 / 5 /25

「また引越したの?」と呆れられていますが、最近、新築ピッカピカのオフィスに移転しました。地震への心理的安心感も抜群です。
最寄り駅は赤坂や溜池山王で、アークヒルズ・サントリーホール・ANAホテルの真向かいの立地です。
引越貧乏と言われればその通りですが、現今のように賃料が変化していく時代にあっては、思い切って引っ越してみるという手も有りかと思います。

PAOSご案内地図

加えて、オフィスにしろ住居にしろ私のように定住することに興味の低い人間には、いろいろな土地や環境を体験してみることも悪いことではない、との思いもあります。そのうち動きたくとも身体がいうことをきかなくなる時が来ますし、せっかく大都市東京のような選択肢の豊富な街に住み、仕事をしているのですから。

変われば、どういうオフィスに仕上げていくかも、結構楽しいものです。
たとえばPAOSのビジネスにとって重要なのは会議室です。これまでを振り返っても、いかに重要な知的生産の場であったか計り知れません。

元々PAOSビジネスとは、要は知的美的サービス業というか、自ら申し上げるのも気が引けますが、高度サービス業とも知的接客業とも呼んでいいビジネス内容であることを自認しておりますので、これまでも特に会議室とそのメンテナンスには、いろいろな「創造の場」としての方策を講じてきたつもりです。

以前にも書きましたが、PAOSの創業期は隣の木造住宅が取り壊され積み上げられていた古材を無料で譲り受け、仲間達とトンカチをふるって事務所空間を造り上げるところから始めました。
そうした経験や私自身の思いに加え、時にグッドデザインものの椅子好き(それを自ら使用し体験的に試してみたい気持ち)も加わり、創業以来、私のオフィスインテリア好きというか道楽は時代を重ねるごとに昂(こう)じて行き、これまでのPAOSの歩みを振り返ると、時に過剰とも思える内装投資を繰り返してきました。

その結果、機能的効率以上に、
・ 「お客様にあそこで話し合いたいと思って頂けるオフィス」
・ 「よい会議や議論の出来る(結果良いアイデアや知恵の源泉としての役割を果たす)オフィス」
・ 「長時間過ごしても疲れない(神経を使わない、ストレスのたまらない)オフィス」
・ 「PAOSにしかない独自かつ個性的空間・雰囲気づくり」
等々には留意してきました。

私は、PAOSのようなビジネス目標を持つオフィスのインテリアとは、事務所と住居の中間のようなイメージとサービスが大切と考えています。これは適度の緊張とくつろぎの生まれる美的快適空間づくりといえるのかもしれません。
英国の名宰相W.チャーチルは「人は家をつくる。その結果、家が人をつくり始める」と言ったそうですが、本当にその通りだと実感してきました。

無駄を無くするために「会議は立ったままでやる」会社などの紹介記事を見ることがありますが、整理や調整だけを主目的とする会議室ならそれでいいのかもしれませんが、その時にしか生まれ得ない知恵や、そこでしか発生しないひらめきを求めてのオフィスこそ、PAOSビジネスにとっては重要と考えています。
私は、スタッフ達にも口をすっぱくして「単なる作業をするな、仕事をしろ」と言い続けてきましたし、それが実行できないような人材には私たちの職場は適職とはいえませんので、辞めて貰った方がいいとも思っています。

また、同じ失敗を2度3度と繰り返すような人は、PAOSのような職業から退場して貰った方がいいとも考えています。
PAOSでは常に「成功する以上に失敗するな」と言い続けてきましたし、その一方で、「常に今やっている以上の方法が絶対にあると考え仕事をしろ」とも言っております。これはスタッフ達にとって苦しい要求かも知れませんが、凡人が集まって非凡な仕事を成すためにはこれくらいの心構えが持ち続けられないようでは、「提案型ビジネスの維持」は難しいと考えています。

以前に、NHKのTV番組の中で大打者にして名監督王貞治さんが、「人間だから失敗するのが当たり前と思っている人は、必ず失敗するし、また繰り返し同じ失敗を重ねる」といった内容の話をされていましたが、私もその通りだと思います。さすがに王さんは素晴らしい至高のプロとしての考えの持ち主と感服致しました。

デザイン(見える・見えないデザインにかかわらず)という、投資効率の計算できない分野でお金を頂戴し、仮説法を軸に戦略コンサルティングという仕事をさせて頂いているPAOSにとって、こうした緊張感と責任感を持って仕事の出来ない人は、所詮、当社のスローガン「THINK CREATIVE(今考えていることはもう古い)」のビジネスには向いていないと思います。


いつも変わらぬ机上の“THINK CREATIVE”

従ってオフィス環境も、快適性の一方で緊張感が大切だと考えます。

そのため、オフィスで使用する設備や家具、アート、食器、照明等は実に大切で、特に椅子は重要だと思っています。(極端なことをいえば、作業デスクは板さえあれば良いのですが、椅子は長時間使用して苦痛を強いない、そして安楽すぎないことが重要)

ですから、これまでもそうですが、私はミーティングルームのデザインを考える際には、先ず使用する椅子から決めることを常とし、それに合わせて会議テーブルや照明、内装などのデザインを考えていくことを常としてきました。
そのため、まるでどこかの家具メーカーのショールームと見まがうような会議室を見ると、どうもその企業の知的美的民度や個業化意識が低い会社と思ってしまいます。

かつて、ハンス・ウェグナーの名作Yチェアを使った会議室をデザインした時にも、テーブル、照明、壁面展示や使用小物、内装に到る全ての道具立てを、Yチェアのイメージに合わせて創り上げるという方法をとったことがあります。


旧PAOS「黒の会議室」(六番町)

作業デスクは板さえあればよいと申しましたが、ミーティングルームの場合はそうはいきません。ここはまさにTHINK CREATIVEの場ですし、これまでもPAOSの歴史や実績成果の多くが独自の会議室から生み出された事実があります。

例えば議論を優位に進めるためには「窓を背にして座れ」と言われます。
これは光を目に受けながら長く話をやりとりすると心理的に疲れるからですが、PAOSにおけるお客様との会議室の仕様ではこうした状況を招かないために、極力どちらか一方が窓を背にするレイアウトは避けるよう心がけてきました。どちらもが話し合いの途中でふと横を見れば外の景色が眺められ、気持ちの和むレイアウトを基本方針にしてきたのです。


ヨコを見れば窓&外の景色(六本木)

また会議テーブルに関しては、楕円形のそれを原則として使用するよう努めてきました。
人の視野は平均的に145°位は見えるのだそうですが、会議中に周りの人がどのような反応を示しているかを知覚することも、大変重要です。その場合直線型のデスクでは、向かい側に座った人の表情はよく見えますが、自分と同じ側に着座した人の表情や反応はほとんどつかめません。こうしたことを少しでも軽減して、長時間にわたる全員参加型の知恵出しの場になるようにとの考え方から、楕円テーブルを使用しているのです。因みに正円のテーブルは、ゆらぎを伴わないので気持ちの高揚感が出にくいと考えています。


現会議室(赤坂)


社内打ち合わせテーブル(赤坂)

その他にも、お茶の出し方、ミーティングの目的に応じたサービスのルールなどいろいろ工夫はあるのですが、きりがないのでこのあたりにしておきましょう。

ともあれ、これらは全て永い実務経験から掴んだ「ビジネスにとって良い家具は確かに重要だが、固有環境のデザインはもっと重要」の学びで、独自のPAOS流仕事術の一つです。

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投稿者 Nakanishi : 2011年05月25日 13:17