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« 一見の価値あり、桑沢「SO+ZO展」メイン文化成長が経済成長を牽引する時代 »

2011年、新年メッセージ(PAOS:中西元男)

2011 / 1 / 4

明けましておめでとうございます。

新年を迎え、つらつらとやらなければならない事を書き連ねてみましたら、結構有るはあるはで、年齢も考えずに一体お前は何をやっているのかと、その量の多さに自問自答しています。

丁度1年前の昨年正月に、六めぐり目の干支の寅年を迎え、出来るだけ年相応の、ゆったりとした自分にしかやれない生き方をしようと考えました。恒例であったPAOSカレンダーや新年挨拶状を止めるご挨拶もさせて頂きました。そして、自らの仕事軸の中心に二つのテーマを据えました。それは、これまでやって参りました稀有な仕事経験とライフワークとも言える核・拡デザインの研究成果を活かして、これからの時代の人材育成を行い、1968年以来の仕事記録のアーカイビング本をまとめていくことが目標だったのです。

ところが一年経って振り返るに、全く想定外の新年を迎える年明けになってしまいました。

確かに昨年最も時間を割き、力を注いだのは、母校である桑沢デザイン研究所にSTRAMD(Strategic Management Design)なる社会人講座を設けて貰い、デザイン思考を軸とした戦略経営デザイン人材育成講座を主宰推進することでした。
知的美的経営哲学の敷衍と手法の具現化です。
この講座は、お陰様で24〜63歳にわたる幅広い年齢や職種の、素晴らしく熱意ある第1期受講生達に恵まれ、試みて良かったとの思いと、年齢に関わらず可能性に満ちた有為の人材が日本には沢山いる、との思いを強く持ちました。そして、こうした分野の教育に関しては、この国はむしろ教える立場や管理する側の方が変革について行けず、制度疲労を起こし時代遅れになってしまっているとの危機意識も強くしました。表現デザインからデザインシンキングへの進化が出来ていないのです。
※STRAMDは第2期生の募集を始めています。

STRAMDの教科書にとの思いで「コーポレート・アイデンティティ戦略」なる拙著も出版したのですが、本作りの出来栄えはともかく、これに対する反応や反響の大きさにも驚きました。相談に持ち込まれてくる内容が、それぞれに「本当のCIができていないことに気づいた」「導入してみたが期待通りではなかった」という類のものなのです。確かに個別のケースを分析してみるに「これでは日本の企業力も文化レベルも下がるのが当たり前」と思えるような事例が続々です。

また、昨夏には、いきなり中国からの客人達が4人もやってきて「新しい企業文化を構築したいので指導をして欲しい」と言うのです。聞けば、あるコンシューマーグッズ分野の売上1位の企業で、中国は今後黄金の20年と呼べる成長が続くので、それに備えたアイデンティティ・デザインをやりたい、そして「卓越した企業存在になりたい」のだそうです。つくづく時代は大きく動いているのだと痛感させられました。

そのような国内外の相談事に次々と対応しているうちに、まるで昨年初に描いた青図はどこかにすっ飛び、とんでもない時間貧乏に追い込まれて行ったという次第です。

ただ、脳生理学者の話では、年を取ると頭の細胞は猛烈な勢いで破壊されていくが、直感力を司る脳細胞だけは磨けば死ぬまで増え続けるのだそうです。いわゆる胆識の世界なのでしょうが、確かに受ける相談事のどこが問題なのか、このデザイン表現はどこを直せば良くなるか、などのことが知的美的両面で結構瞬時にして見抜ける自分が育って来ているように思えます。自己過信でしょうか?

かつてPAOS創設間もない40年も前のこと、私はミュラータイムという経営コンサルタントに憧れを持ちました。彼は僅か数人の秘書やアシスタントに囲まれ、美味しい料理やワインを楽しみながら、誰でも知っているような大企業の指導を革新的にやった人です。その基本的な考え方や手法は今読み返しても新鮮です。

とても私にはそのような真似は出来ませんが、世のお役に立てる間はなるべく添えるようにしたい、永く豊富な経験を持つからこそ可能な、広い意味でのデザイン・コンサルタントの役割を果たしたいとの思いの一年の始まりです

皆さま、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2011年 元旦



投稿者 Nakanishi : 2011年01月04日 10:46