中西元男 実験人生
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« 久しぶりの北京と16年ぶり感動の再会メインIcogradaの運営と中国のデザイン政策に思う »

中国国家大劇院(NATIONAL CENTRE FOR THE PAFORMING ARTS)

2009 / 11 / 5

前回の続きとして、案内して貰った国家大劇院(NATIONAL CENTRE FOR THE PAFORMING ARTS)のことも少し書いておきます。

場所は天安門広場・人民大会堂のすぐ裏側にあって、その中国らしいドデカイことと、全体が水に浮かんだようなファンタジックで美しい存在感に圧倒されました。親切に直接案内をしてくれた芸術品部のスタッフ常碩(Chang Shuo)さんは、「中から眺めると船に乗っているようなイメージ」と説明してくれましたが、私には湖に着水した巨大な宇宙船のように思えました。
中には3つの劇場といくつかの付帯展示場が設けられています。


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天安門広場に突如着水した巨大宇宙船のように見える外観

建築デザインはフランスの建築家ポール・アンドリューの作品で、説明を聞くところではオリンピック施設より長い、10年近くの時間をかけて作られたようです。
なにしろ巨大すぎて、手持ちのデジカメの画角に収まりきらないため分かりにくい写真で申し訳ないのですが、16年振りに再会した曽輝さんのせっかくのご招待でしたので、建築写真としては不十分な出来ですが、雰囲気だけでもお楽しみいただければと思います。

この建物も計画段階ではいろいろ物議をかもしたようですが、宜(むべ)なるかなの思いを持ちました。と同時に、建設途中に同様に物議をかもし、結果、原設計者ヨーン・ウッツオンが途中で降りてしまったシドニーのオペラハウスのことを思い出していました。

どちらの建物も実際に外から中から見てみると、私の個人的見解としては実に素晴らしい建物だと思うのですが、その理由の一つは意外性を持つファサード(外観)の個性的な美しさもさることながら、ヒューマンスケールを完全に凌駕している内部空間が、感覚的な違和感というか空間恐怖をまったく感じさせない点であるようです。


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大劇場(2,416席のオペラなどを行うメインの劇場。他にも京劇用など全部で3つの劇場が設けられている)


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ロビー(壮大ではあるがどこか優しさのある空間)


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窓と外の眺め(水のリフレクションを伴い幻影的なイメージ)


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素材使い(天井はおおらかな寄せ木の局面、床は中国各地の奇石の組み合わせ)


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水天井(一般の人が行けない裏口の天井は水の下。太陽光が揺らぎ、まさに幻想的)


大劇場のマーク。社会主義文化大発展のために造られた、と書かれている

これは全くの私見ではありますが、大劇場のような大構築空間は、極力曲線を用いて構成した方が良いのではなかろうか?との思いを持ちました。オーガニックな空間構成の方が、人の感性にはより適合性が高いと言えるのかも知れません。

先般依頼を受けて、ベトナム、カンボジア、タイ、フィリピンの人たちにデザイン戦略の講義をした際、「東京にはどうしてその都市を代表するランドマークと呼べる建物がないのか?」との質問を受けました。

中国の人たちは、建築が都市にとって何が出来るか?ということを知っている、あるいはその意識が高い。しかし、現代の日本人にはどうもそうしたモニュメンタルな景観形成に対する価値観や建築史観そのものが存在していないのでは無かろうかと思わざるを得ません。これでは観光客を世界から集める魅力都市づくりは難しいのではないでしょうか。要は理念の問題だと思います。


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投稿者 Nakanishi : 2009年11月05日 19:20