中西元男 実験人生
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« 中国国家大劇院(NATIONAL CENTRE FOR THE PAFORMING ARTS)メイン2010年 新年のご挨拶です »

Icogradaの運営と中国のデザイン政策に思う

2009 / 11 / 6

北京行きとIcograda(国際グラフィックデザイン団体協議会/International Council of Graphic Design Associations)の大会が日程的に合致し、中央美術学院の美術館(一美術専門学校のギャラリーとは思えない内部4階建ての壮大な施設)での発会パーティにたまたま出てみて思ったことでしたが、こうしたイベントの運営に関し、本当に日本とは違うな、というのが正直な感想でした。

同行していたPAOS上海代表の王超鷹も、彼自身が以前名古屋で開かれたIcogradaの総会にパネリストとしても出席し、JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)メンバーらによる実に見事な大会運営を体験しているだけに、予定も何もかもが不確定で情報もろくすっぽ手に入らない会の進め方に大いに不満をもらしていましたし、事実、運営面に限ってはその通りと私も思いました。
また、式典会場の音響対応が悪く(残念ながら日本の建築家の設計だそうでしたが)、ともかく音声が反響してしまってよく聞き取れない点も問題だなと感じました。


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Icogradaオープニング式典(中央美術学院美術館)

大体中国におけるこの手の行事は、前工程をみてみると「一体これで本当に出来るのだろうか?」と思わせながらも、終わってみると確かに万全とは言えなくても無事やり終わっている、といったことが多々あり、私もヒヤヒヤさせられる局面に何度も遭遇してきました。今回もご多分に洩れずそのような中国らしい運営であったと思います。オリンピックを経てその辺りは改善されたと思っていたのですが、そう簡単に変われるものではないのですね。

しかし他方で中国のデザイン政策をマクロ的に俯瞰してみると、これは以前にも書きましたが、ここ10年ぐらいでつくられたデザイン系大学等が1000校を越えていることとか、次々つくられる巨大な文化施設の数々を見ていても、これらが熟成し成果を出し始めた時にはおそろしい存在になっていくこと間違いなしの気がします。
要は国策としての文化投資発想の問題です。



これは今回の訪問の会食時にお会いした、中国の副大臣クラスの方の名刺で個人情報部分の露出は避けますが、環境問題対応の中にちゃんと文化促進の発想が盛り込まれていることに驚きました。
当面の対応にはいろいろ問題も多い中国ですが、ちゃんと将来を見越して打つべき手は打たれている、との印象を随所に持ちました。

同様の先を読んだ対応については、前々回のブログにも書きました最初の北京訪問時にお会いしました経済副大臣の方から「アメリカや日本を見ていると、先ず性能的に良い製品をつくることに注力し、その次にプロダクトデザイン、そしてパッケージやブランド、最後に企業存立証明としてのCIに取り組んでいる。中国ではこれを順番にやっていったのでは時間が掛かりすぎるので、出来れば世界のその分野の指導者に協力して貰い一斉にやりたい」との発言を聞き、中国的な合理主義というか、文化に国境を設けないで導入していく姿勢に驚かされましたが、現在はそれが着々と実を結んできていると思えます。

こうした視点からわが国のデザイン界やデザイン政策を眺めてみると、国からデザイン団体レベルまでおしなべて、果たして長期展望や戦略思考はあるのか?将来に向けての文化形成志向はあるのか?と思わざるを得ません。
デザインの単品思考や作家作品志向だけでは、それが多少突出した良さを持っていたとしても、やがて世界に遅れると考えざるを得ないのです。お役所の単年度対応発想もそれに輪をかけていると思えます。

確かにこれまでのわが国は、凝縮された豊かな国内市場に支えられていましたから、そこを充足さえしていれば海外のことを考えなくても成り立つ業界や商品が沢山ありましたが、少子高齢化の影響がじわじわ出てくるこれからは、国際間競争という視点からも、そんな呑気なことは言っていられません。

経済成長は年率8%が続くと確か10年で2倍の所得規模になるようですから、現在の中国におけるGDP成長路線の保持はまさにどこまで倍々ゲームが続くのかといった舵取りといえます。
加えてこの国には13億の人口があり、これが15、6億人まではいくのでは?と考えられ、その人達が着々と豊かになっていく購買力や市場力を思うと、世界の先進各国が必死に中国市場に食い込もうとする思いは容易に理解できます。
中国人はよく「世界中の5人に1人は中国人」とか、「4人に1人は中国系」と言いますが、まさに好き嫌いを越えて驚異のパワーと可能性を持つ国と言えそうです。
しかもその国が長期展望と戦略性を持ってデザイン投資・文化投資を続けているわけですから、21世紀はアジアの時代、当面その盟主は中国といっても偽りは無いでしょう。

またこうした発展のシナリオを北京などの都市部(農村部の問題は個人的にはよく分かっておりません)で見ていると、これは日本が反面教師とも思えますが、先ず道路などインフラの整備から手をつけていく開発手順など見事です。その具体的な手法なども実に面白いのですがここでは割愛致します。
ともあれ数千年にわたり漢民族文化を築き上げてきた国民の文化活用力は凄いものがあります。

さて、わが国は、はたまたそのデザイン界は、何を考えればいいのでしょう?


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投稿者 Nakanishi : 2009年11月06日 16:33