中西元男 実験人生
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COMMENT

« インターンシップ修了生メイン「挑戦」で仕事をするか、「調整」で仕事をするか「考」 »

デザイン振興策、私論試論、またの名をデザイニスト養成

2008 / 4 /18

私なりのデザイン振興策というか、これは私流のデザイン業界プロモーションのつもりであるのですが、従来、大学等で講義をして欲しいと頼まれると、可能な限りデザイン学校や専門大学よりは、一般の大学の方に重点を置いてやってきました。

通年とか半期通しての講義をお引き受けしたケースでは、上智大学経営学科で5年、立命館大学経営学部&大学院で3年、早稲田大学ビジネススクールとオープン教育センター(全学部全学年生が受講可)で3年、変わったところでは六本木ヒルズにあるアーク都市塾ブランド戦略マネジメントコース(これも一種のビジネススクール)で4年といった具合です。もちろん、桑沢デザイン研究所・武蔵野美大・東京芸大等々のデザイン教育機関でも教鞭は執ってきましたが、これらの学校では年に1〜数回と、スポット的な形でしか行ってきませんでした。これは、デザインの振興を図るにはデザインの専門家を増やす以上にデザイナー以外の人たちにこそデザインの価値認識を深めてもらい、この分野の重要性を知る人たちを増やしていくことが大切と考えてきたからです。

PAOSという会社を設立した時の、組織としての使命も「企業経営者に理解されるデザイン理論とデザイン手法の開発」と新分野の確立であり、その意味で自らを「実験会社PAOS」とも称してきました。
当然、業務内容そのものも全く新しい分野へのチャレンジでしたから、常に実験と実践の繰り返しで、デザインを核としながら研究し生み出した理論や手法を実ビジネスの場に採り入れ、実務から生じた疑問や課題を次なる研究テーマに据えていく、といったことの繰り返しというかキャッチボールが、PAOSのワークスタイルになってきたのでした。

こうした独自の一連の作業分野を「核・拡デザイン」と称しています。
同時に、この行為はいわゆるデザインの専門家以外の人たちも巻き込んでいくことになりますから、賛同者・理解者全体を総称して「デザイニスト(デザイン主義者)」と呼んできました。もう50年近くも昔から使ってきた造語です。
因みに私が顧問を務めさせていただいているエヒメデザイン協会は「デザイニストえひめ」と謳っています。デザインを専門職とする人以外も大いに巻き込んでいこうとの、団体としての主意です。
すなわちデザイニズムとは、デザインを支える共通公分母としての価値軸、「審美性」「快適性」「安全性」「倫理性」「個性」などを、あらゆる人工物や社会に採り入れていこうとの主義主張ですが、企業経営にそれを活かしていく構想が「知的美的経営」であり、PAOSは常にそれを目指してきた集団でもあったわけです。

私は「デザイン事業協同組合」というデザイン団体の副理事長を務めております。このデザイン組織は略称をJDBと言いますが、他のデザイン団体と最も違うところは、グラフィックデザインやインダストリアルデザインといった専門性を持った一分野のプロ組織ではないことです。あらゆるデザインジャンルのメンバーが参加し、一つの組織(組合)を構成しているところに特色があり、同時に他の公益法人組織と異なり、営利業務を行ってもよいという大きなメリットを持っています。しかし、実際にはこれまでの10年程は、これらの長所が活かせてきたとは言い難いところがありました。

そこで、このたび企画を立てましたのが、先のブログでもご案内いたしました「JDBデザイン・インタラクション・パーティ」でした。
この場合のJDBは「Japan Design Bund」、すなわち「日本デザイン連盟」と大きく名乗ってみたのです。講演1時間・交流1時間の企画で呼びかけ、デザイン関係者はなるべく専門以外の知友を伴って来て欲しいとお願いしましたところ、そんなに大きな前宣伝をする時間もなかったのですが、定員100名想定に対し、何と約150人もの申込みがありました。
この内容詳細に関しましては、デザイン事業協同組合のHPに掲出されることと思いますのでここでは省きますが、本プロジェクトの企図は、デザインの今日的テーマを中心としながらも、いわゆる作家作品型の説明ではない、デザイニズム的に重要な話題を共有化し知識と交流を深めて行こうとするもので、デザイン系のあらゆる分野を超えた交流およびデザイン専門職とそれ以外の幅広い専門分野の人々の交流も目指していこうとの目論見でした。

記念すべき第1回は、講演者に市川俊英氏 (三井不動産株式会社常務執行役員、東京ミッドタウンマネジメント株式会社社長)をお招きし、今や人気爆発の東京新名所と呼べるミッドタウンの開発当初から6年半をかけた今日までのご苦労と紆余曲折のプロセスを語っていただき、最後に私との短い対談におつきあいいただきました。
そればかりか当初の予想を上回った出席希望者に配慮していただき、150人余は収容できる立派な講演会場の無償提供までも申し出ていただいたのでした。
また、東京ミッドタウンのスタッフのみなさまには、準備段階より終了に至るまで万端お心配りの行き届いたサポートをいただき、心から感謝申し上げる次第です。


会場ポスター


東京ミッドタウンの開発とDesignにつき熱く語る市川俊英社長

講演後、中西が聞き手となり市川社長と対談


市川社長のご好意で会場の供与を受け、希望者全員に参加いただけました。


パーティにて、経済産業省 製造産業局デザイン・人間生活システム政策室:野澤篤也氏の音頭で乾杯

JDBに「Japan Design Bund」の言葉をあてた元ネタというかヒントになったものに、デザイン史上名高い運動「Deutscher Werkbund(ドイツ工作連盟)」がありました。この運動は、簡単に言ってしまうと、工業と美術の良き融合を目指す建築家を中心としたものでしたが、それがやがて技術と芸術の融合から新しい造形価値やデザイナーを生んでいく教育機関「Bauhaus」の誕生に繋がっていくわけです。

今日のデザインを核とする融合とは、建築家やデザイナーだけではなく、むしろデザインと他のあらゆる分野・領域の融和から、新しい時代の価値を創っていかなければならない、というのがデザイニズムの主張です。その意味で、JDBがひとつの芽になってくれればとの思いが個人的にはあったのです。
これはある種の創造的破壊でもある行為ですから、最初からそれほど多くの賛同を得られるとは考えてはおらず、興味を示してくれる方が少しでも多くいてくれればという気持ちでの出発でした。しかし、イベントとしてはなかなかの好スタートであったわけです。
これはもちろんデザインの公的価値を求めての行動ですが、永く貫いてきた私自身のデザイン哲学とデザイン運動の文脈の一貫でもあるということを、ご理解いただければ幸いです。



投稿者 Nakanishi : 2008年04月18日 16:36