私の講義はいわゆる選択科目だから聴講生まで含め色々な学生が約30人ほど受講している。年齢もかなり幅広いが35才位が平均的年齢であろうか?最近は個人情報保護法のこともあって、どのような人たちで構成されているのかなかなか個々人の状況が正確には把握し難い。そのため成果を上げるという意味でのコミュニケーション効率や教育効率としては明らかに低下しているように思える。
だが学生の大部分は既に職業体験を持った人が多いので、それだけに話が通りやすいと言えなくもないが、毎回出して貰っている簡単なレポート(講義への感想)の内容を見ている限りでは、どうもものごとを現象的、もっと言うならば物的に捉える人がかなり多い。
そもそも企業や事業のアイデンティティや理念、ブランドに関わるような知的資産づくりの作業は、形あるモノが完成してしまえばそれで終わりというのではない。
その実は、
第一に、これを作り上げていく試行錯誤のプロセスそのものが先ず何より大切であり、
第二には、当然の事ながら出来上がった理念やブランド、ロゴマークといった視認できる成果物の質が大切であり、
第三には、成果物をいかに育み成長させていくかということへの努力がプロジェクトとしての成否を分ける重要な意味を持つといっても過言ではない。
ところが実際には第二の完成品というか見えるデザインにのみ関心を持つ人が多く、これではたいていの場合投資に見合う成果は期待できないのだが、講義の中だけでこのことを説明しきるのは実に大変であることを痛感している。