こうしたジュエリー&アクセサリーという人の身体に最も近い存在としてのデザインは、優れたデザインを採り入れた生活文化の成熟化という意味で非常に大きな存在価値を持っているように思えます。
つまり、アクセサリーデザイン自体はモノとしては小物に過ぎないのですが、実はそれを身につけることによって、ご当人のファッション全体に及ぼす影響力は実に大きく、その意味での存在としてはなかなかの大物としての価値を持ちます。その一点で付ける人のセンスの善し悪しが判断されることも少なくないからです。画竜点晴のようなものです。
加えて、装身具として自身が身につけるという意味合いの価値だけでなく、自分で作品づくりを行うという参加型のデザインジャンルという意味でもジュエリーはアマチュアが参加しやすく、プロとアマの境界があやふやな分だけ、下部構造が大きく広がる可能性もあり、新しい文化やデザインの時代到来の切り口として意義を持っています。これはクラフトという分野にも同様の可能性を感じます。
江戸時代の武士や町人が根付けのような持ち物に凝り、独自のわが国文化の礎をつくったごとく、卑近な所からこそデザイン文化は始まるべきだと私は考えているのです。
CCJ展における中島凪さん(千葉県)の発色アルミのデザイン作品(中島さんは和光の展覧会にも出品作品あり)
