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北京:華嘉企画「科技智嚢」誌からの原稿依頼

2004 / 10 /26

北京の易建湘さんから次のような依頼がきました。

尊敬的中西元男先生

北京華嘉企画の「科技智嚢」雑誌には、今回“CI特集”を掲載する予定で、主として、欧米、日本、中国のCI発展経緯について系統的に整理したうえ、我々の主張――実践型CIを提出するつもりでございます。中には、前回、先生は弊社へ訪問した時、語れた貴重なご発言も編集して掲載するつもりでございます。この特集の権威性を増すため、先生からのご短文をお願いいたしたいと存じます。(原文通り/後略)

易建湘さんには、今年の春、中国ファッション協会年次総会の記念講演を頼まれ出かけた時にほぼ10年ぶりにお会いしました。その際、夜遅くてもいいからわが社を訪ねて欲しいと懇請され出かけて見て驚きました。北京華嘉企画他3社の会社を経営する大変な経営者になっていて、官民を問わずいろいろなコンサルティングの仕事を引き受けていて、企業のトップのみならず党や政府の要人達も多く訪問してくるとのことでした。

約10年前に初めて会って一緒に海南島に出かけた頃には未だ個人で作家的に仕事をしていると言った印象の彼が、僅か10年弱でどうして社員二百数十人を擁する大コンサルタント会社の経営者に成り得たのか、それにここには外国人のスタッフは一人もいませんし、海外から特別のノウハウを導入したと言うわけでもないのです。これには僕もいくら成長の早い中国とは言え、その秘密は知ってみたいと思いました。

易さんの話をまとめて言いますと、中国でも一時期いわゆるCIブームが起き、いい加減なプロジェクトが氾濫し評価を落としたが、最近では先の見える指導者が官民を問わず現れ始め、「美的経営は必須」との考えや方法論を受け容れてくれるようになったのだとのことでした。さすが文化大国の歴史がこういうところにも現れてくるのかと感心しました。

そこで「何かCIに関する短い文を」と請われて送りました僕の拙文も以下に付けておきます。

これまでの30年を振り返りますと、世界的に見ても日本のCIは独自の発展を遂げて来たといえます。もっというならば、PAOSの実施したCIが非常に固有のビジネスモデルを構築してきたのだと言った方がいいのかも知れません。

その原点は、ほぼ1971年に刊行した書籍DECOMAS(経営戦略としてのデザイン統合)に描かれていますが、これを著した時点で既にその構想はアメリカ型のCIを越えていました。単に表層的なVIをやるだけではないと言う意味においてです。それから30年以上経った現在でも、一般に行われているCIやブランド戦略と呼ばれているプロジェクトの大部分はVIの域を出ていません。それは、本来その企業が依って立つ存立原点からデザインし直していくCIプロジェクトに成り得てないからです。

私の経験では、CIを「物的・効率的経営」「人的・組織的経営」に対する「美的・知的経営」として位置づけ、本来のあるべき開発作業を行うことが重要と考えています。そうした根本からの開発作業を実施すれば、デザイン戦略で倒産寸前の経営不振企業も救えるし、隠れた経営資源を活かして新事業分野にも出ていけるし、高度情報化社会に適した企業理念や行動指針も策定しうるからです。

現代は、工業化社会から情報化社会へと大きな時代変革の最中にありますから、新しい企業の存在価値を創出し、それを保護、活用していく最高のチャンスが到来していると考えられます。特に中国をはじめとするアジアの国々においてこそ、従来の欧米風とは異なった独自の価値観や美意識のアイデンティティが創出確立されることが大切だと私は考えております。

中国がパイオニアとなり、新しいCIモデルが提案され、成果が生まれていくことを大いに期待いたしております。



投稿者 Nakanishi : 2004年10月26日 18:57