中西元男 実験人生
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Gマークの存立意義とこれから (2)

2004 / 10 /29

確かに今日のデザインにとり、人間振興・文化振興は重要なテーマであり、僕自身もGマークの民営化に当たっては、これからは産業振興ではなく人間振興に重きを置こうと提唱してきましたが、やはりGマーク制度の存在意義は「産業に資する」という前提もしくは裏のテーマがあっての人間振興だろうと考えています。
それ故にこそ優秀作品に与えられるのが「経済産業大臣賞」や「中小企業庁長官特別賞」であって、文部科学大臣賞や文化庁長官賞ではないのだと思います。これが私なりの大局的なGマーク見解だとしますと、もう一方でGマーク存立のための小曲での解決課題も常に考えてしまうのです。

今年のGマークは応募件数が昨年より約15%も増え、それは大変喜ばしい事だと感動すら覚えております。それは、民営化時委員長職にあり、当時は何事を試みるにも火の車の財政状況下で、僕と同時期にご就任の久禮彦治理事長からも忌憚なくその辺りのお話を聞かせていただいておりましたので、「少しでもお金になるように」と常々考え、同時に経済不況の真っ直中でもありました。「日本の経済にどうすればデザインをもって資することが可能か」とも考え続けてきました僕にとりましては、どうすれば「デザインを通じて次の日本経済への投資になるか」、加えて、卑近なところでは「Gマークの使用料がすこしでも多く取れるように」と脅迫観念のごとく思い巡らせておりましたので、その意味からもNHKが大賞に選ばれてもGマークを使い使用料を払っていただけるとは思えないし?と考え込んでしまうのです。

存亡の危機状況でもない今日のGマークにとっては「もっと鷹揚に構えましょうよ」ということなのかも知れませんが、本当にこのあたりのGマーク制度が拠って立つ所を、本当に確認しておかなくともいいのであろうか?と考え込んでしまう次第なのです。下手をするとせっかくこの制度育成発展の良き協力者であろうとする企業から、また「Gマーク大賞とはそのようなもの」の偏った思いを持たれてしまいはしないかとの危惧の念をつい抱いてしまうのです。僕一人の老婆心でしょうか。

大賞選考の当日、お隣に座っておられた同じ審議委員のお一人である資生堂の福原義春会長から、「今は国からどれくらい支援が出ているのですか?」と聞かれ、「そうした資金は一切なく基本は完全に自立自営の制度になっていると思いますが」と答えたのですが、そうした運営費面でも隔世の感を覚えたことは確かです。

普通は大賞の決まった後は、関係者一同での懇親会が行われ、そこは歴代審査員の皆さんの久し振りの交流の場になって楽しいのですが、今年の僕はアルコールが入るとつい上に述べてきたような発言をしてお集まりの皆さんのお酒をまずくする危険がありそうに思え、恒例の懇親会にも出ないで帰路につくことにしました。

国民の借金700兆円の中でのGマーク、年間予算のうち税収は半分にも満たない国家財政の中でのGマーク、アジアの中で見ても強力なデザインの国家戦略が必要な時代のGマーク、考えさせられた一日でした。



投稿者 Nakanishi : 2004年10月29日 01:43