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審議委員会での話題「Gマーク審査が難しくなってきた」

2004 / 9 /21

先週末、恒例の今年度のGマーク受賞作品を最終的に承認する審議委員会が東京:五反田の東京デザインセンターで催された。これは今年度68人からなる審査委員の皆さんが2004年度Gマーク受賞作品にしようとお決めになった最終結果や、金賞(部門賞)、特別賞、大賞候補作品等の承認が審議委員会の主な仕事で、その意味では儀式ではあるが、各審査委員が侃々諤々検討された跡も生々しい候補作品の現物を前にしての重要なセレモニーではある。

この今年度の最終結果は10月26日の大賞(グランプリ)公開審査に置いて幕を閉じるが、今年度の応募作品は2,500点を超え、昨年を約15%上回る隆盛ぶりで、1998年の民営化そして(財)日本産業デザイン振興会の主催体制が完全に軌道に乗った感が深い。嬉しい限りだ。

今年から、審査委員長が川崎和男さんからデザイナーの喜多俊之さんにバトンタッチされたが、喜多さんも単なる作品主義型ではない、幅広く世の中の流れを見る能力を身につけ、かつ世界的に著名なデザイナーであり、ビジネス経験豊富にして人柄的にも包容力のあるベテランでもあるから、きっと成熟化時代のGマークに相応しい規範やモデルを創出されて行かれることと思う。

この度の審議委員会の委員長報告の中でも話題に出ていたが、Gマーク審査の一つの問題は「何をもってグッドデザイン贈賞の対象とするか?」への共通概念づくりにあるようだ。まだ正式には発表前なので具体的な商品名は差し控えるが、それらは多くは新領域部門もしくはそれに類する、いわば、これまでの時代にはなかった対象商品を中心に起きている。一言でいうと従来の概念では「これを果たしてデザインと言ってよいのだろうか」といった事例が多く生まれてきていることである。

これまでも「外国人審査員を入れてはどうか?」などの議論がなされてきたが、審査員を困らせる(迷わせる)商品の多くはわが国にしかない、いわゆる「ジャパンクール」に代表されるような分野で多く現れてきているから、まさに日本が最も進んだ、あるいは日本固有の商品ジャンルに現れてきていると見ていいだろう。今般のわが国デザインが世界的にも最も進んだ「デザイン豊熟の時代を迎えようとしている証左」でもある。

加えて、2003年度は全人口の60数%の老若男女がコンピュータを持ってインターネットやり始めた、いよいよ本格的なわが国インターネット時代の幕開けの年であり、具体的なビジネスの世界ではネット販売がカタログ通販を完全に抜き去り驚異的な伸びを記録した年度でもある。
「これは何を意味しているか」、このことは、製造者・販売者・デザイナーがお上にいてデザインを決める、いわゆる「上から下へのデザイン支配の時代は終わり」、ユーザー個々人がまさにデザインを選ぶ・決めるインターネット環境に支配される時代に入った事を意味しており、これまでの川上〜川下産業はデザイン的に選ばれる時代に入ったとの認識を持つことが大切であろう。工業化社会はまさに主役の座を降りたのである。

受け手に、審美性・快適性・安全性・個性などの面を主軸に大量の支持を受ける、あるいは一品だけでもそこに立派なビジネスが成り立つ、これらはいずれも立派なデザインと呼べる時代に入ってきたのである。この逆転現象を正確に捉えて置かないとこれからのGマーク審査など出来ない。審査員が余程の情報収集や学習をしておかないと、単なる個人的な印象審査では収まらないデザイン成熟時代がやってきたと言えるようである。



投稿者 Nakanishi : 2004年09月21日 13:35